種子島&屋久島の旅 3日目

朝6時30分に起床。
Mがカーテンを開ける。さ~どうだ???
雨。

「まぁ、とりあえず昨日じゃなくて良かったね」と言いながら、スーツケースを雨の中ゴロゴロするのが憂鬱になる。
「でもまた私達が外に出ると晴れるはず」といつもの自分に都合の事を言う私。
でも今回の晴れ率は、けっこう自信があった。私の祈りパワー(怪しげ)の見せ所。

7時にご飯に行く。さすがに朝はちゃんと用意されてる。

社員旅行なのか、大勢のおじさん達も朝ご飯を食べていた。
しかも、ビール飲んでるし!!朝の7時。
目覚めのビールってどんなんだろう、というか寝てないのか?
真似できない私達は、静かにお茶を飲む。
9時過ぎのバスで、西之表港まで行く。
私は傘を持ってくるのを忘れていたので、屋久島で着るためのゴアテックスを早速着用した。
でも私達がバスに乗る時は、やっぱり雨が止んでくれる。感謝。

今回の運転手さんは、スーツケースを持ち上げるのを手伝ってくれなかった。
人生、全てやってもらえると思ったら大間違い。
雨が強くなってくる。ほんと良かったと思う。
もう恐らく二度と訪れる事はないと思う、この種子島
でもいい場所でしたー。

10時30分頃、トッピー乗り場に到着するけど、船の時間まで1時間程ある。
屋久島予定を立てることにする。
翌日の15日は、モスガイドというエコツアー会社に縄文杉ツアーの予約をしていた。
「明日の縄文杉、どうする?」
「私は本当は行きたい」と私。本当って何だよ、って感じだけど、ホント体力さえ問題なければ行きたかった。
でも途中でまた体調悪くなったら、迷惑かけるし、おんぶしてくれないって言うし。
「やっぱり止めとこうか?」って事で、一応モスガイドに電話する。

「すみません。明日なんですけど、やっぱり体力に自信がなくてて・・・」とへなちょこぶりを伝え、代わりのプランが何かないか聞いてみる。
でも、当然だけど、登山コースになってしまう。そりゃ、そうだ。
「周遊もありますか?」
「はい、ありますよ」
「ただ島を一周するんじゃなくて、何かちょっとだけ山とか沢とか立ち寄れるコースなんかありますか?」
「はい、大丈夫ですよ」
って事で、翌日は、屋久島周遊ガイドを頼む事にした。

という事で、縄文杉は断念、次回のお楽しみにしておく事にした。
行けないとなると行きたいと思うのが、人間、というか私。
縄文杉のデカさ、見て何を感じるか、この目で確かめたかったな~と思ってしまうけど、でも普段でも10時間なんて歩かない私が、無理して歩いて、翌日からダウンって言うのも嫌だしな、と色々言い訳を自分に言い聞かせて諦める。
縄文杉は逃げない。生き続けてくれる。いつか会える。大丈夫。だと思った。(でもそうではない、というのを後で知るのだけれど・・・)

時間になり、トッピーに乗り込む。種子島から屋久島へは約50分で着く。
海の玄関口である宮之浦港安房港の二つの港があり、私達は安房港行きに乗る。
横殴りの雨がすごい。ゴアテックス着ていて良かったー。
そして、お決まりのように爆睡。
しないと、やっぱり本当に揺れて揺れて、やばいです。
船酔いがひどい人は、天候が悪いと乗れないんじゃないかなー。
爆睡してたけど、断片でジャンプしている記憶があるし。

念願の屋久島に船が近づいてやっと目が覚める。
種子島とは異なり、本当に山の島だった。緑!緑が濃い!
相変わらず雨がすごかったけど、暗い空の中の濃い緑の山々に、白い霧がたちこめていて、何だか幻想的にさえ見える。
あ~、やっと着いた。とうとう、来れた。嬉しくなってテンションが上がる。

屋久島への行き方は、飛行機、船とあるけれど、通の方達は、船を勧めるらしい。
島がだんだん見えてくる感じがいいらしい。
通じゃないけど、ちょっとならってみた。

寝ていたMが、
「さっき寝てる時に、おでこにちょこちょこ何かがあたって、うわ~虫がいる!って思ったら、Kちゃんの髪の毛だった」爆睡していた私は、船の揺れに更に頭を揺らし、ちょんまげをしていた頭で、Mの顔をつついていたらしい。
良かった、知らない人じゃなくて。というか寝すぎ。

年間400日雨が降るという屋久島。
こんな感じでずっと雨なのかぁとちょっと不安になりながら、それでもお得意のお祈りをする。

安房から今日泊まる八重岳山荘ロッジのある宮之浦までバスで30分ほど。
バスの時間まで少し待つ。
港には、「屋久島内でご自由にお使いください」オレンジ傘が置いてあった。
いいなぁ、みんなの傘。親切な暖かい場所だ。
それぞれ借りて、バスに乗る。

安房は、屋久島で2番目に大きいエリア。屋久島と言えば、山しかないイメージだったけれど、
普通にお店も民家もあり、普通の風景だった。

2時過ぎに宮之浦に到着し、その頃には雨が止んでいた。
八重岳山荘ロッジは、本館民宿が宮之浦港近くにあり、とりあえずそこに行く。
「こんにちは~。宿泊するHです~」と叫ぶ。
綺麗なお姉さんが出てくる。
「とりあえず、ご飯食べに行きたいので、荷物を置かせてもらっても良いですか?」と聞き、やっとスーツケースから開放される。

「お勧めのご飯屋さんありますか?」と聞いてみると、
「3時までやってるし、かぼちゃ屋さんがいいよ」と教えてくれる。
という事で、場所を教えてもらい、早速歩いて行く。
ガイドブックにも載っていた、屋久島ラーメンと、カレーのお店、かぼちゃ屋さん。
11時~15時の4時間のみの営業で、けっこう有名らしい。
(実際、屋久島にいる間に、撮影隊を見かけた)

「これにしな~」と東京ラーメンを無理矢理食べさせようとするMを制して屋久島ラーメンを2人とも頼む。
けっこうなボリュームの屋久島ラーメン900円。
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屋久島の名物、サバ節でとったダシと味噌味が特徴で、サバの燻製とこれまた屋久島の名産トビウオのつけあげが
トッピングされている。そしてさつま揚げ入り。
私のにはさつま揚げが入ってない!と騒いでいたら、ちゃ~んと下の方に隠れて入っていました。
正直、サバがあまり好きじゃない私。でも味噌味がきいてて、美味しかった。
私的には、屋久島ラーメン>鹿児島ラーメン、です。
お腹も満たされ、雨も止んで、気分も良く、そして本館に戻る。

本館からロッジまで距離があり、足もなく、どうしようかと思っていると、ロッジまで車で送ってくれるという。
わーい!
結局、毎日なんやかんや送ってもらえた。
忙しい時は難しいけど、今はそんなにお客もいないし、我侭が通用するらしい。

更に我侭は、その日の夕飯を急遽つけてもらった。
ロッジは、素泊まり3,800円、朝食付で5,500円、1泊2食付で7,800円。
一応、朝食付きで予約をしておいて、夕飯は前日に言ってもらえれば大丈夫と言われたのでそうする事にしていた。

ロッジは、想像以上に山の中にあり、レンタカーを借りてない私達は、完全に身動きが取れない状態だった。
夕飯をつけてよかった。

杉林の中を10分程、細い山道をぐんぐん進み、やっと明かりが見えてくる。
まさに山の中で、この宿以外なにもない場所。
かなり良い感じの宿。
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6棟しかない客室をつなぐ、緑に囲まれた渡り廊下がとても綺麗。
杉の木を使っている部屋には、ちょっとしたテラスまでついていて、見渡す限り杉の森をのんびり見る事が出来る。
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お風呂も杉見風呂と、川沿いの月見風呂、そして五右衛門風呂がある。
「素敵だね~~、いいねいいね~、ここにして良かったね~」と喜ぶ私達だけれど、こんないい場所、やっぱりドコモのFOMAは圏外だった。
Mのauは、ばっちり電波入ってたけど。

ご飯の時間になり、渡り廊下を通って食堂へ行く。
この渡り廊下は本当に良かった。いい作り方してるな~って思う。
と思いながら、入り口の方を見ると、何とシカがこっちを見てる!
「うわ、ヤックルだ!」とMを呼ぶ。超こっちを見てる。首をしゃんと伸ばし、今にも襲ってきそうな目をしてる。
目をそらしちゃいけないと何故か思い、にらみあう私達とヤクシカ
可愛いけど、ちょっとびびる。
親子なのか、2匹いた。でもちょっとしたらぴょ~んと軽やかに山の中に入ってしまった。
写真取りたかったーーー!でも無理だった。

さぁ、ご飯。「こんばんは~」と部屋に入ると、
いかにも屋久島の男の子!って感じの若い男の子がご飯担当らしく、一人で準備している。
私達の他には、カップルが一組。

ご飯を作ってくれた男の子に、「これは何の魚?」と色々聞く。
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今日のご飯は、トビウオの塩焼き、お刺身、さつま揚げ、サバの煮付け。
初めて食べた、トビウオの塩焼きがとくに美味しかった。

「Hさんは、明日どうするんですか?」と男の子(後でS君と知る)に聞かれる。
「えっと、最初は、縄文杉に行こうとしてたんですけど、体力に自信がなくて…とりあえず山を知る前に、屋久島を知ろうと思って、周遊にしました。」
「そうなんですか?縄文杉、余裕ですよ?
僕の小学時代の遠足でしたから」
「え?遠足???」
「はい、普通にサンダルで行けますよ」

Mと2人で顔を見合わせて、驚きながら、
「え?それならやっぱり行ける?行く?」と思ってしまう私は、まだ諦めきれていない未練タラタラの女。
でっかい登山靴まで買って来て履いて来て、断念しているへなちょこチームを、笑う男の子。
「あ、でも私達、へなちょこなんで」って事で、一度決めた事は男らしく変えないことにする。

そして、今度は、隣のカップルさんに話しかけるS君。
「今日、白谷雲水峡どうでした?」とS君が聞くと、
カップルの男の人が、
「もうすごかったですよ、雨が。膝下まで水が来てて、もう濁流ですよ、濁流!」と苦笑しながら話している。
「それでも行ったんですか?」
「いや~、もう帰りが戻ってこれないかも知れないって事で、途中の小屋前までしかいけませんでした」
(って事はもののけ姫の森までたどり着いてないって事)

すごい。
とにかく今日は雨がひどかったらしい。
「ガイドさんに、とにかく行ってくれって、頼んだんです」
って、それにしてもすごい。

まだ山に入っていない私達なので、白谷雲水峡がどんななのか、全く分からなかったけど、雨で膝までになってる川を渡って、登る山。
「もう足場にする岩とか見えないし、よく生きてたよね」と彼女の方が笑ってる。
もう想像を超えていて、彼らが話す話は申し訳ないけど大爆笑だった。
「いや~、逆に経験できないから、良かったかもですよ」とMがフォローするけど、フォロー出来てないから。
私達の時は、絶対晴れて、って思ってるし。

どれだけすごい雨だったかと言うと、
「駐車場が浸水してましたよ、ガイドさんのワゴンも浸水してて、車の中で靴が浮いてましたもん」
「テレビで見る台風映像を生で見たって感じだったよね」
「生死かけてたよね」とカップル。すげー。

と5人で大爆笑していると、オーナーさんらしきおじさんがコップを片手にやってくる。
「こんばんは~」
そして、S君が、「Hさん達は、明日縄文杉止めて、周遊にしたんですって」と私達のへなちょこぶりをばらす。
「そうなの?レンタカーで周るの?」
「いえ、ガイドさんに頼んだんです」
「え、周遊をガイドに?もったいない~」え?やっぱり?
更には、「モス?聞いた事ないなー」とも言われてしまう。S君も同様にうなずいてる。
だ、大丈夫かな?明日・・・と顔を見合わせる私達。
「あ、でも明後日からは、YNACさんでツアーを頼んでるんです」と言うとおじさんの目がキラリンと光った。(ように見えた)
「あそこは間違いないよ、屋久島で一番のエコツアー会社だよ。それはいい選択したよ」
さすが、ランディさんのお墨付きだ。とりあえず良かった良かった。

そんなこんなで、屋久島で有名な焼酎、「三岳」をオーナーさんがごちそうしてくれる。
カップルさん達とみんなでワイワイ飲みが始まる。
お湯割りでいただいたのだけど、芋の独特のにおいもなくて、かなり飲みやすくて本当に美味しかった。

「さっき、ヤクシカを見ました」と言うと、
「ここにはサルもシカも近くまで来るんだよ。だからお客さんにそう言っておくの。そうじゃないと風呂場近くで音がしたら、まるで俺が覗きしてるんじゃないかって思われるだろ」面白いおじさんだ。

そしてまた、命がけ大雨白谷雲水峡登山話に花が咲く。

「途中の杉の説明もなく、とにかく下だけを見て、進んでいきましたよ~」
「うわ~すごい~」
「というか、そんな説明する余裕も聞く余裕もなかったんじゃ・・・」
「ほんとよく行ったね~」とおじさんに褒められてる。

カップルさんの彼の方は、かなりのお酒好きらしく、おじさんとお酒談議が始まる。
「今日三岳を買いに行ったんですけど、売ってなかったんです」と彼が言うと、
「これはスーパーで、地元の人が並んで買うからね」とおじさんが教えてくれる。
ひょえーーー、そんなお酒なの?
でも山荘には、ダンボールでたんまり確保されていた。
「それじゃ、一本あげるよ」とおじさんの太っ腹ぶりが披露されてる、おお、便乗したい!と思ったけど、礼儀正しい彼は、「お金きちんと払いますので、一本譲って下さい」と言っていた。

私達は、スーパーの売り出し時間を聞いておいた。

時計を見ると9時だった。
お風呂が10時までで、まだ入ってなかった私達は、
「お風呂入ってないので、おさきに・・・」と帰ろうとしたが、それがお開きの合図となった。
屋久島の夜は、早いらしい。

カップルさんが先に部屋を出ると、おじさんが、
「災難だったね、あのお2人さんは。でも、ガイドさんもはずれだったね」と言う。
「そうですか?」
「そうだよー、何の説明もせずにただ案内するガイドなんてさ~」と言う。
「でもYNACさんは大丈夫だよ!」と太鼓判をまたまた押してくれる。
モ、モスは???
「ご馳走様でした。明日も楽しんできま~す♪おやすみなさい~」と笑顔で食堂を出る。

「モスガイド、大丈夫かな?」
「でも、まぁなるようにしかならないしね」
それも、楽しい思い出の一つって事だしね。洪水登山は嫌だけど。
でも、人生その人に必要な事しか起こらない宇宙ルールを信じてる。
今日の女風呂は、川沿いの方。
渡り廊下を歩いて、お風呂へ向かう。
あ~、いい雰囲気。

ただの移動日だったけど、今日も楽しい一日だった。
宿も良い感じで、一安心。
明日のモスガイドの心配をしつつ、寝る事に。