種子島&屋久島の旅 4日目

屋久島は、1週間に10日雨が降るといわれる程、雨の多い島。
そして、私とMは、六星占術によると金星(-)で、まさに大殺界の停止の時期で何をやってもうまくいかない、旅行なんてとんでもない!!って年。
でも、朝起きたら、今日は良いお天気だった。

大殺界同士、マイナス同士が転じて、プラスに作用してるみたい。
悪い事の中にも良い事が隠れていたりするんだ。
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朝ご飯を食べに行くと、昨日の夜一緒に飲んだカップルさんもいる。
「おはようございます。」と挨拶をして、座る。
やっぱり「いいお天気ですね~。」とは言いにくい。
カップルさん達は、今日この良い天気の中、鹿児島へ向かい、何泊かして温泉に入って、千葉に帰るらしい。
朝ご飯をモリモリ食べて、旅の無事を祈って、お別れをする。
それにしても、旅行先だとどうして朝からたくさん食べられるんだろう~。

今日は、ツアー会社モスガイドに屋久島周遊ガイドをお願いしていた。
周遊だろうが、何だろうが、靴はやっぱり登山靴の私達!
9時30分に、モスガイドが宿まで迎えにきてくれる。
地元の人も知らない、ガイドさん。どうなんだろ~とドキドキする。というかかなり不安。
黒い車が、入ってきた。
「お?あれかな?」
見ると、40歳代位の男性が運転し、若い男の子1人が助手席に乗ってた。
「モスガイドです。」と車から降りず、その運転席に座る男性が言う。
その瞬間、不安がまさにビンゴ!?と思ってしまった。あ~大丈夫かなぁ。。。
でも、もうどうしようもない。「Hです。よろしくお願いします。」とMとそのまま車に乗り込んだ。

運転手さんは、Tシャツに、短パン、サンダルっていう超ラフな格好で、風貌はちょっとジャイアン
男の子は、普通にシャツにジーンズ、スニーカーで、丁寧に色々教えてくれそうな優しい感じ、って思った。
きっとジャイアンが今日の運転手さんで、若い男の子が色々細かく教えてくれるガイドさんなのね、と思った。

「あの、私達では行けないような、ガイドブックに載ってないような屋久島の自然を満喫出来るような場所に連れていって下さい~!」とプレッシャーをかけるM。
「僕、この会社のガイドのランクで言うと、Cランクなんで、どうだろう~」
のんびり口調のジャイアンが言う。
げ?やっぱりこのジャイアンがガイドなの?しかもこの自信のなさは、謙遜?
いや、そんな風には聞こえない。うわ~、絶対外れたよー、えーん。
心の中で、思いながら、
「そんな事ないですよね~?」なんて愛想笑いをする。
「とにかくお願いしま~す」と2人で言う。ってか、頼むよ~と心で叫ぶ。

正直、ホントやっちゃったーって思った、
せっかくの屋久島なのに、せっかくのお天気なのに・・・
でももう今日は始まってる、気持ちを切り替えて、与えられた今日を楽しもう!
全て自分に起こる事は、【最善】よ!と一人で決意する。

でも、やっぱり男性を見る目のない私。
ジャイアンはなかなかいいガイドで、本当に楽しい良い1日だった。
そして、丁寧に説明しれくれそうなガイドさんと思った男の子は、私達と同じ旅行者だった。

車内で自己紹介をする。
ジャイアンは、ジャイアンではなく、大ちゃんだった。うん、大ちゃんって感じ。
そして男の子は、次の仕事が始まるまで1ヶ月あって、それで旅行をしている、私達の一つ上の吉本君。
大ちゃんと私達は同じ兎年だった。
「なんだ~、みんな同い年なんだ~」って事にしておく。
多分、一回り上なんだと思う。

そして、仕事の話になる。
「Hさんは、何してるの?」
「いや~、7月から無職で、旅行したり、フラフラしてるんです。」
「仕事は何してたの?」
「制作会社です。」と答えながら、仕事の話はいいよー、屋久島話てんこ盛りしよーよーと思ってた。
「何で辞めちゃったの?」って更に大ちゃんは聞いてくる。
「あ、過労死する、って思ったもんで」と本当のような適当な事を、会話をふくらませないように答える私。
「そうだよね~、俺も東京にいた時は、そんな仕事してたんだー」
「テレビ関係ですか?」
「そう、プロデューサー」
うーん、Pっぽい。
この軽~い感じというか、このいい加減な感じとか(って全く失礼な私)一緒に仕事すると
振り回されてイライラする、関わりたくないタイプだわ、って0.3秒で思いながら、
「テレビは、大変そうですよね。それこそ過労死しちゃう。」
「ホントホント、編集室に何日も泊り込みで、家に帰れないもんね。編集室に住んでるの?俺、って思うよ」
「そうですよね~、分かりますよ~」と話を終わらせたくて、相槌だけ打つ。けど、仕事話は、しばらく続いていた。

ここがどこかも分からない程、車はスピードを上げてどんどん進んで行く。
今日の予定は、全然聞いていなかった。
Mの軽いプレッシャー程度の要望しか言っていない。
屋久島は周囲約130kmの島で、ノンストップで行けば車で1周約3時間で行けてしまう。
宿のある宮之浦港から出発し、西に向かっている。

30分程車に乗っていると、突然駐車場にとめた。
「降りましょう。」大ちゃんが言うので、カメラを持って外に出る。
海が広がってた。「綺麗~~~!」と叫びながら浜を歩いてみる。
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永田いなか浜という場所で、
一泊する予定の送陽邸という宿が見えている。
私は、宿をお楽しみにしておきたかったので、なるべくそっちは見ないようにしていた。

この永田のいなか浜は、ウミガメの産卵地で世界的にも有名な場所。
残念ながら、産卵は5~7月なので、カメさん達はいないけど、産卵時期に見学ツアーに訪れる人は多いらしい。

カメが選ぶ位だから、やっぱり砂浜もとても綺麗。
砂というか、花崗岩が細かくなって出来た浜だから、綺麗なのだ。
「これが、カメの卵だよ~」と大ちゃんが白い紙のようなものを渡してくれる。
見ると浜辺にたくさん落ちていて、触ってみると、本当に薄くて、卵の殻とは思えない程。
「カメはさ~、産卵する時、涙流すんだよな。でもあれは産みの苦しみで流す涙じゃないって学者は言うんだよな。
いいじゃん、産みの苦しみの涙でって思うんだよね。カメが頑張って産んでるんだってそれ見て感動出来るんだからさ。」
って大ちゃんは言ってた。
そっかー涙じゃないんだ~、と私は思いながら、でも私はどっちでもいいやって思った。
それよりも、砂浜の温度が高いと雌として産まれ、低いと雄として産まれるらしいと知り合いが教えてくれた方が気になってた。
こんなに綺麗な場所で、カメが出産に選らんだ場所でも、地球温暖化が影響してきてしまう。

地球温暖化は始まっていてそれは世界を破壊していくと言われてもピンと来ない。
だけど、自然の一つでも知ると、それは一気に身近に感じる。
アメリカはそれに気づかないフリをいつまでするんだろう。

それでも、海は本当に綺麗だった。
種子島も綺麗だったけど、屋久島の海もとても綺麗。
「いいですよ~」と照れて?断る吉本君と3人で写真を撮って、次の場所へ移動するために、車に向かう。

大ちゃんは、自分の話をたくさんする。
「自分はサーフィンをやっていて、たくさん怪我もしてるんだ。」って足の傷跡を見せてくれた。
おおージャイアン、やるじゃん。まさかサーファーだったとは!
ちょっとずつ見る目が変わりながらも、海を見て癒されてもまだまだこのツアーに心を開いていない私。

次はどこへ連れていってくれるんだ~と思いながら、車は大きい通りから脇道を入っていく。
民家が何件かある。
これは、自分達では行けないかも、でもどこへ行くんだろ~、車も対向車が来るたびにどちらかがバックして道を譲るという位、狭い道。

で、到着。
小屋が一つある。
「トイレにしましょう」
な~んだ、トイレに寄っただけかー、でもここはどこだ?永田は永田なんだけど。
全員トイレ休憩も終わり、車に戻るのかと思っていたら、山道に入っていく。
お!いよいよ、私達の希望コースかな?と期待しながら後を着いていく。
一応道があるという事は、ここは名前がついた登山口なのか?と思いながら、黙ってついていく。
大ちゃんはサンダル、吉本君はスニーカー、私達は登山靴、だけど、足取りがおぼつかない私達。
周りはたくさんのシダやその他名前の知らない植物に覆われている。
「これは、食べられない芋、だからクワズイモ。」とトトロが傘代わりに持っていたような大きい葉っぱの名前を教えてくれる大ちゃん。
植物の名前もこんな覚えやすい名前だと良いんだけど、と名前を覚えるのが苦手な私は思う。
それにしても、大ちゃん、ガイドっぽいじゃんとちょっと見直す。

どんどん道も狭くなり足場も悪くなっていくと、水の音が聞こえてくる。
山から水が流れ、その上に、一枚の木が、一応橋になっている。
「これ飲んでいいの?」と聞くと、「飲めるよ、でもあっちの方でも飲めるよ。」と言われた。
でも色んな場所で飲んでみたい私は、足場が悪かったけど、無理矢理飲んだ。
初めて飲む屋久島の天然のお水は、冷たくて美味しくて緑の苔の味がする気がした。
その小さな橋の上で「水に背を向けて、こうやって手を耳の横においてみて」って大ちゃんが言うので、
手の甲を顔に並べる感じで、耳の前に両手を持っていった。
「すごい!何これーー」
そうやって後ろ向きで、手で聞こえる範囲を狭めると、さっき聞いてた水の音が何倍になって聞こえてきた。
これは面白かった。
さっきまで穏やかな水の流れが、ご~って音を出してるように聞こえる。
自然の音。特に水の音は、気持ちが良くて、心地よくて、いつまで聞いてても本当に飽きない。
雨の音、海の波の音、川の流れる音、心が落ち着く。

更に山の中に入ると、大きな川に出た。
サンダルでぴょんぴょんと進む大ちゃん。
登山靴は、やっぱり登山用、岩場は逆に滑って恐いのだ。
それでも、頑張って大きな石までたどり着く。
爽健美茶!って感じ~」「いや、大豆の力でしょ」とテレビCMを思い浮かべてしまう場所。
「この風景使ったらダメだよ、俺がもうパッケージに使ったんだから」との事。
あるソフトのパッケージになってるらしい。
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それにしてもこういった世界がちゃんとあるんだな~って感動してくる。
水も本当に綺麗。
広がる緑の山々を見上げる。そこから流れてくる綺麗な水。
何て美しい場所なんだろう、屋久島、ってこのどこだか分からない場所でも思えてしまう。
全てがこういった美しい場所なんだ、屋久島。
息を思いっきり吸い込む。肺にたくさん取り込む。細胞まで酸素をいきわたらせる。
普段意識しないけど、地下鉄に乗る時や、人混みの中では呼吸が浅くなってくる。
よどんだ空気を体内に入れたくない感じ。だからそのクセがついてしまい普段の呼吸も浅くなってる。
意識しないと、深く空気を酸素を吸えない自分。
マイナスイオンを体全体で取り込む。
そして、悪いものを全て出す。

岩場に4人で座って、大ちゃんの話を聞く。
屋久島は、この今座ってる岩、花崗岩で全て出来てるの。
この岩をよく見ると岩の中に白く固まってるものがあるでしょ?
これは溶岩が冷え固まったもの。これがあるから岩がざらざらしてて滑らない。だから、苔がついて、雨が降っても滑らない。
コケってどう書くか知ってる?くさかんむりに台って書くでしょ?
まさに、この苔が岩を覆って、台になって、杉などの木が育ち、この島をつくってる。
そして土がないこの岩の島に雨が降ると苔が水分を吸収して土の代わりをしてる。」
すごいよ、苔。
すごいよ、屋久島。

ちょっとだけ雨が降って来た。
命のお水。

屋久島の川には、魚がいないのは何故か知ってる?」と更に大ちゃんが聞く。
これはランディさんの本「ひかりのあめふるしま 屋久島」にあったぞ!
「水が綺麗で、微生物も住めないから、魚もいないんですよね?」と自信たっぷりに答える。
だから、屋久島のいたる川で、普通にお水を飲む事が出来る。
本当に本当に、こんなに澄んだ底が見える川は、見た事がない。
夏だったら、絶対泳いでた。
「夏はいいよ~、川に入って、あの辺でスライダーして、疲れたら岩で昼間してさ、お腹すいたらバーベキューして・・・」
と夢の生活を自慢する大ちゃん。
いいなー、そんなの夏休みに田舎のおじいちゃんの家行って、近くの川でする子供の遊び方だと思ってたよ。
これって本当に贅沢な、大人の遊びなんじゃないかなー。

例えば、超好きな人は別として、大人でも楽しめるディズニーランドは、毎日行ったら絶対飽きる。
でもこの自然の中でする遊びって、四季折々色んな表情のある自然を見て、空気吸って、嫌な事出し切って、アトラクションはず~っと変わらなくても、いつまでも色んな遊び方が出来て飽きない気がする。
でもそれも遊び方を知らない私が突然行っても、楽しめないのかも。
やっぱり遊び方も教わらないとだな、特に自然に関しては。

大ちゃんが言ってた言葉でけっこう印象に残った事は、
屋久島は、最初の2年位でけっこう全て分かった感じだったんだけど、3年目であれ?って感じで分からなくなった。もっといたらどんどん分からなくなった。今じゃ、ホント分からない。だから面白いんだよ」って。
屋久島、奥深いなー。

もうこの時点で、屋久島に確実にはまったって思った。
山登りも何もしてないくせに、この美しい澄んだ水と、山の成り立ちと、この空気を吸って、そして苔の森なんか見たらどうなるんだろう。
そして、すっかり大ちゃんを信用し始めた。とりあえず午前中の内にそう思えて良かった。

森から出て、大ちゃんが、あったかいジャスミン茶をいれてくれる。
「こんな感じで、ご期待に応えられましたでしょうか?」と大ちゃんが聞いてくるので、
「大満足です!」と答える。本当に楽しかった。
自然に触れると、頭の中のモヤモヤが消えて、ふわ~っとしてきて眠くなってくる私。
アルファー派が出てるのかなー。

気分もすっかり良くなり、
車は島の西側にある西部林道を進んでいく。
ここは、世界自然遺産登録地域の場所。大型車両は通行不可になっている程、道路は狭い。
左側は、自然遺産の手付かずの原生林、照葉樹林が広がり、右側は、キラキラと日の光で輝いてる綺麗な海が広がってる。
車で一瞬で過ぎてしまうのはもったいない程。でも歩いてる人はいない。車も多くない。
唯一いるのが、サルとシカ。
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このヤクシマザルは、本当にたくさん見た。
車が近づこうが、ここは俺の場所だとばかりに道路に座ってる。
足広げて寝っ転がって、毛づくろいしてもらってるサルさえいた。
ヤクシマサルはとても体が小さくて可愛らしい。親に抱きついてる子供なんて本当に可愛い、とはいえ野生のサル。
目が合ったりするとちょっと恐い。写真を撮りたくても窓を開けるのも躊躇してしまう。
サルが群れでいる場所には、可愛いシカも一緒にいたりする。
サルの食べ残した餌を狙っている様子。

サルを見るたびに車を停めて見る。
というか車が来てもよけないために、停める事になってしまう。
そんな中で、道の真ん中で一生懸命のサルカップルを見てしまう。
「おお~~!」(キャーではなく、おぉと叫ぶ可愛げのない私達。)
9月~1月が恋の季節らしい。
恋の季節とはいえ、そんな道路の真ん中で堂々としなくても・・・
邪魔してごめんね、でも通らせて、って感じで車を進める。

こうやって野生のサル達が普通に生活している場所に、人が入れるなんて(逆に向こうからしたら俺達の住む場所に勝手に入ってくる人間、って感じなんだろうけど)
この距離感がすごいなーって思った。
餌付けされていない野生のサルは、人を警戒していない。
もちろん危害を加えれば、襲ってくるだろうけど。

日光にいるサルはまた違う。
確かイロハ坂の途中にある駐車場の猿は、すごく凶暴で、人を見ると餌をくれると思って、そばによってくるんだけど、体も大きいし、けっこう恐い。

高尾山に登った時は、サルに山の上から大きい石を投げられた。
どっちもサルが悪いんじゃなくって、人間が悪いのだけど。

サル道を過ぎていくと、突然車を停める大ちゃん。
立神という岩がある場所だった。
「ここは気に入ってもらえるか分からないけど。」
って降りてみると、穏やかな海が眼下に広がっている。

立神を見るのではなく、ガードレールをまたいで座る大ちゃん。
「ここは自分のお気に入りの場所で、時間がある時は、ここに座って、ガードレールにもたれて、本読んだりしてるの。海のそばで読書もいいけど、波の音が気になるでしょ。ここは波の音が聞こえなくてちょうど良いんだ。」
私達もガードレールをまたいで、座って空に足を投げ出してみる。
目の前の海と、空と、雲。超、気持ちが良い。
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海の波がまるでシワのように、たくさん出来てて、ずっと見てると海というか水に見えなくなっていった。
「海をたくさん見たけど、こういった見え方って初めてかも。」
私もここが気に入って、「大ちゃん、いい場所ですね。お気に入り教えてくれてありがとう。」
と言ったら、「良かった~」と喜んでた。

どこどこの有名レストランとか、バーとか、そういったお気に入りの場所もいいけど、
自分が一人でのんびり出来るいつでも行ける自然のお気に入りの場所って素敵だな~。
お酒飲んで愚痴って発散させる方法と、自然の中でぼ~っとしてる内に気づいたら発散していたって方と、
もちろん人それぞれだけど、私は後者がいいな。第一、お金がかからない。
大ちゃん、意外といい趣味してる。

西部林道を抜けると、大川の滝に着いた。
屋久島にはたくさんの滝があるけれど、これは南九州一の滝で、88mの高さもある。
日本の滝百選にも選定されている滝。

滝好きの私は、けっこう楽しみの一つだった、大川の滝。
その前に、トイレに行きたくなり、大ちゃんをおいて3人でトイレに向かう。
「鹿児島に遊びに来てて、そこで屋久島がいいって聞いて、そのままここに来たんです。」と
吉本君の一人旅話をそこで初めて聞く。
「一人旅、楽しくないですか~?一人だと人に話しかけないと分からないから、頑張って話しかけて、そして仲良くなったりするし。」
と秋田一人旅で、一人旅の楽しさを少し味わった私は聞いてみる。
「でも、やっぱり最初は躊躇しましたよ~、逆に友達と一緒にいた方が他人に一緒に聞きやすかったりするし。」
そっかー、そんなもんかー。
「だから、屋久島の装備も何も持ってなくて、宿も決めてなくって来たんです。で、モスガイドさんの民宿に泊めさせてもらってるんです。」
どちらかと言うと、物腰の柔らかい優しい感じの吉本君。
見るからにアウトドアーって感じじゃない。
そんな彼が屋久島かー。
「いつまでいるの?」と聞くと、「まだ決めていないです。お金と相談しながら。」と素敵な事を言う。
いいな~、やってみたいな~、そんな旅。

3人で話しながら、滝の方へ向かう。
ガイドブックにも載っているし、けっこう人がたくさん来ている。
観光バスも来ていた。
そして、そこでランチタイムになった。
お弁当を用意してくれてる大ちゃん。好きな岩に座り、滝を見ながらご飯を食べる。
外で食べるご飯ってそれだけで美味しいけれど、更に滝の音をBGMに食べるご飯も格別に美味しい。
そしていつものように、梅干をMにとってもらう私。
「何、梅干嫌いなの?」と大ちゃんに突っ込まれる。
「うん、嫌い。ってか食べた事ない。シソは好きなんだけど。」
「ダメだな~もったいない~」
「梅干なんか食べられなくても、他で美味しいものいっぱい食べられるもん!」
「嫌いなものがあるヤツってだいたいそう言うんだよな~」と好き嫌いなさそうな大ちゃんが言う。
何と言おうと、梅干と昆布だけは、この先一生食べる気はない私。

ご飯を食べながら、大ちゃんの世界旅行の話になる。
世界って国はいくつあるんだっけ?
かなりの数字を言ってた気がする。
「そんなに色んな場所に行っても、永住しようって決めたのは屋久島なんですね?」
と聞いてみると、「うん、やっぱり屋久島は海も川も山も遊べてサイコー。」と大ちゃんが言ってた。
そっかー、他の世界を知ってても、一番って思う場所なんだ。
知らなくても、一番って思える私も、間違ってないんだ。

ご飯も食べ終わり、滝の近くに行ってみる。
大川の滝は、滝つぼの近くまで歩いて降りることが出来る。
岩に座ってみると、豪快な水音とすごい水しぶきで、マイナスイオン浴びまくり~って感じ。
「ここにこうして寝るんだよ~」と大ちゃんが教えてくれる。
ご飯の後は、やっぱりお昼寝だよね。
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岩に寝転んで、滝を見たり、空を見上げたり、そして目をつむって、岩の温度を感じて、水の音を聞いていた。
気持ちが良い。

東京にいる時でも、近場で言ったら華厳の滝とか、色々滝を見に行ったけど、やっぱり観光地だから、近くまで行けなかったり、混んでたり、本当に観光って感じで、眺める感じなんだよね。
でも屋久島の自然は、観光地なんだけど、観光地化されていない感じがする。
そこで寝ようが、ご飯食べようが、歌歌おうが、なんか何でもあり、って感じ。
自然を見るというより、自然の中に入る感じ。

寝てる大ちゃんが、
「いい事教えてやろうか?絶対言わないって約束するなら、教えてやる。」と言う。
言わないよ、ジャイアン~、と私達はのび太君とスネ男になり、教えてもらう。
「ムーンボー」の話を教えてもらったけど、秘密って事なので、内緒にしておきます。
想像しただけで、美しい光景がだった。
全く、何でこんなに色々あるんだろう、屋久島って。
屋久島に全てあるんじゃなくて、きっと東京にもあったんだけど、なくなっちゃったんだよね。

多分ここにも1日いられる。
バスで来た観光客の人達は、時間に追われて、滝のそばまで行く事もなく、遠くで眺めて帰っていく。
私達は滝を満喫し、車に乗る。
ちょっと行くと道路沿いに、水飲み場があった。
これは、知らなかったら通り過ぎてしまう程、看板も小さい。
「名水100選」とか何とかあった気がする。
ただ、ちょっと前にみんながMのくれたフリスクを食べていた。
ので、お水の味がよく分からず・・・
自分のペットボトルのお水を捨てて、このお水を入れた。

今度は、海に行く。
栗生って場所だと思う。
天気もすっごくよくて、海もやっぱり底が見える。泳ぎたい。
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「台風の後だから、たくさん杉が流れてきてるんだよ。台風の後は、ここに来て杉拾いに来てるの。」
って大ちゃん、ここに来たの私用?
まぁ、いいけど。

大きい杉も流れ着いていて、「杉の香りがするはずだよ」と言われてかいでみる。
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「ほんとだ~~、杉のいい香りが残ってるよ~。」
その後、落ちてる杉を見つけては、お互いにおしつけ、遊ぶ。

海を後にして、中間のガジュマルを見に行く。
屋久島一の大きいガジュマルが、道路に立ちはだかり、アーチのようになっていた。
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垂れている木根が何とも異様なガジュマル。
ここには他の木があって、ガジュマルが乗っ取り、元あった木が死んで、今のガジュマルだけの姿になったのかな。

ガジュマルそばのベンチで、座っていると、大ちゃんがジュースを買ってきてくれた。
「だって好きなんだもん」と瓶のリンゴジュースを渡してくれる。

よ~く見ると賞味期限が少し切れていた。
けど、見ないことにして、飲んだ。
美味しかったけど。
「この瓶、ロウを入れて、ロウソク立てに出来るんだよ。」
とちょうどグラスの形をしている瓶を見ながら大ちゃんが意外にも洒落た事を言う。
「あ~、海で拾った貝を入れてもいいかも!」とアイデアを出してみたら、
「もうそれはやった」と言われちゃったけど。

そばの川で遊ぶ小学生を眺めながら、しばし休憩をする。
小学生の男女が蛇を振り回して遊んでいた。
「あ~、ご飯のにおいがする~」とMが叫ぶと、
「お前は、食いしん坊だな」と大ちゃんにばれてしまうM。
「でも大事だよな、そうゆうの。」

大ちゃんは、けっこう「大事なもの」を分かってる人だな~って話していると分かってくる。
屋久島の人、屋久島に住もうって決めた人はみんなこうなのかもな。

もう島も半周まで来た。
海も、山も、川も、けっこう満喫出来た。

「最後は温泉だ」って事で、
海沿いのJRホテルの温泉に行った。
日帰り入浴代600円を自分で払う。島の人は、400円で入れる。
まだ新しいのか、本当に綺麗なホテル。
「お湯は、軟水で肌にも良い美人の湯ですよ~、お肌スベスベになります!」とホテルのおじさんが言う。

お湯は、本当にぬるぬるしていて、洗っても石鹸がなかなか落ちないような感覚。お肌にもいい感じ。海も綺麗に見えて、あ~幸せだな~って心の底から思った。

1時間程お湯に入って出てくると、大ちゃんと吉本君は既に出ていて、
他のスタッフさん達も集合していた。温泉集合、いいなぁ。

ここでツアーは終わりらしかった。吉本君は、合流したスタッフの車に乗って宿に帰っていく。
「またね~」とあっさりとお別れをする。

温泉でスッキリした大ちゃんは、そのまま今計画中という、新しい宿を作る場所に連れていってくれて、色々展望を聞かせてもらった。
夏には完成するらしいけど、そこはまだな~んにもない場所だった。
だけど、海が広がってた。
「ここから海に下りていけて、ハンモックも作って、バーベキューも出来るようにするんだ~。」
楽しそうな大ちゃん。
屋久島の好きな場所に、好きなように自分の場所が作れたら、本当に幸せだろうな~。

そして宿まで送ってももらう間、大ちゃんの話をずっと聞いていた。
大ちゃんの考え方とか理想とか、やろうとしている事、やってる事は、
見かけによらず、とても素晴らしくて、私はすごく共感出来た。

途中で、雨が降って来た。
島のあっちで晴れてると思ったら、こっちでは雨だったりする屋久島。
でも、その後いいものを見れた。
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綺麗な、7色すごくはっきりした虹を見た。
ここまで色がはっきりしていて、そして、虹の端から端まで見えたのは、生まれて初めてだった。
しかも更によく見ると、2重になってた。
今日の締めくくりの最高のご褒美だ~って思った。
大ちゃん、最後までやるじゃん!

あっという間に宿に着いてしまった。もうちょっと色んな話を聞きたくなっていた。
「また夏においでよ、お酒飲もうよ」と言う大ちゃん。
最初の印象とは本当に違う。
「本当に楽しかったです。ありがとうございました。」とツアー代6,200円(確か…)を支払うと、
「三岳でも、飲んで」ってオマケしてくれた。
「俺もすっごく楽しかった。」って毎回言うのかも知れないけど、大ちゃんが最後に言ってくれた。

本当に本当にいい一日だった。

大ちゃんに感謝した。
そう、この大ちゃんは何とモスガイドの社長さんだった。
最後に知った事実でした。
あー、なんかこの人は、印象で損をしてるなって最初思ったけど、とにかく自分も楽しんで、そして人を楽しませて、
堅苦しくさせないために、自分が社長って言わなかったんだな、って思った。
違うかな?
ガイドさんって、ガイドするだけじゃなくて、自分も楽しむっていうのがガイドしてもらう方にとっても、楽しい感じが倍増するような気がする。
一緒にいる人が楽しいか、楽しそうか、自分が楽しいと思った時なんか特に、誰といても気になってしまう私は、ガイドさん自体が楽しそうかも見てしまう。

本館の方に顔を出して、「今日も夜送ってもらっても良いですか?」とお願いをしておく。
そして、「楽しかったね~」と今日を振り返りながら、宮之浦港をブラブラする。
港に近いけど、海くささが全くしない。
すっかり暗くなり、月が出てくる。満月に近いせいか、月明かりが本当に明るい。
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そして、大ちゃんお勧めの、「とし」で夕ご飯を食べる。
とりあえずビールで乾杯~。
枝豆、野菜サラダ、お刺身の盛り合わせ、トビウオの唐揚げ、を注文する。
トビウオの唐揚げがすっごく美味しかった!塩焼きよりも好きかも。
とってもいい気分で、更に焼酎をお湯割りでいただく。
おいち~~~。気分いい~~~。

ほろ酔い気分で、お店を出て、スーパーで飲み物買って、そして8時に宿に戻って車で送ってもらう。
宿の若い女の人に、車を出してもらって送ってもらった。
細い山道にも関わらず、運転がカッコ良かった。

お部屋について、お風呂に入って、そして、天気予報見て、12時頃、就寝。
山に入る前に、屋久島を周遊、って外側から攻める私達。
それにしても屋久島の魅力を少し味わっただけで、これだけ楽しい私。
明日からどうなるんだろう。

明日は、いよいよYNACツアー。
楽しみ~と思いながら、すぐに爆睡した。