病気は治るという強い気持ち

秋田の玉川温泉に湯治に行ってきた。

「座浴」をしに行った時に、そこのオーナーの韓国の人に、
「あなた、玉川温泉に行きなさい。すぐに治るわよ」と言われ、ずっと気になっていた。
全国から毎日多くの人が、病気を治すために岩盤浴をしに訪れるらしい。
特に癌患者の方が多いと聞いていた。
でも秋田か~と思いなかなか行けなかった。

一人で温泉に行くのは初めてだったが、とても良い旅だった。

色んな人と出会った。

抗がん剤を8回もやり、そのお陰で肺に8個あった腫瘍が3個になったという人、
次の検査までに何とか良くなりたいから、岩盤浴に来た人、
車椅子を押しながら、夫婦で来ているおじいちゃんおばあちゃん、
山形から毎年来るというおばあちゃんの団体さん、色んな人と話した。

卵巣癌の手術後、肺に転移し、一人で湯治に来ていたおばあちゃん、
抗がん剤で髪がすっかり抜けてしまったおばさん、
大腸癌になり大手術をして、何度も玉川温泉に湯治に来ている40代の女性、
子宮癌の手術をした40代の女性、
奈良から一人で来ていた50代の女性、

とにかく癌の人が多かった。

それでも見た目はそんな大病しているようには思えない程、元気で明るかった。
みんなと話し、大声で笑っている。
そしてみんな、優しく思いやりがある人達ばかりだった。

初めて会う人同士でも、病気を語り合う。
普段は、隠してしまいがちな癌という病気であっても、皆が普通に語りあう。
皆が同じ位置にいて、それぞれの辛い体験が、実体験として理解しあえる人達。

不思議とそれは、暗いものではなかった。聞いていて辛い嫌な気分にならなかった。

「病気だから辛い」とそこで留まるのではなく、
皆が自分で治ろう、治そうとしている。
遠くからわざわざやってくる位、真剣な「治す」という強い思い。
癌であっても、それを受け入れ治療し、そして気持ちを強く持ち、
前を向いて治ると信じ、癌に効くという岩盤浴を行う。

病気になると、何で自分だけこんな辛い思いをするんだろう、って考える。
私も痛い度に、思う。ひどい時は死にたいとも思ってしまう時もあった程。
話した人達も皆同じだった。
昔はよく考えた、でも今はそう思わないと話していた。

私の場合、病気であっても死は延長線上にあるだけで、
ここに来ている人達にとっては、一度はすぐ隣にそれを感じた人達。

それでもそれを克服し、いまだに辛い状況ではあるけれど、明るく笑っている。
一人で来た周りよりも若い私に優しく声をかけてくれる。
話をしてくれ、聞いてくれる。


私の10歳上のお友達が、癌で先週から入院している。
何度目かの入院なのだが、辛そうな彼女を見るのがとても辛い。
行ける範囲で会いに行き、私が出来る事をしようと思う。
まだ彼女は話せる程元気はない。
だけど、一人で病院にいるとやっぱり免疫力が下がる気がする。
誰かと会い、話し、笑う事は免疫力を上げ、そしてそれが治癒に繋がる。
誰か他人がいれば、一緒に笑う事が出来る。
そして、その前に一緒に泣く事も出来る。
直接励ます事は、充分頑張ってる彼女に対して出来ないけれど、一緒に時間を過ごし、そして彼女の話を聞いて、少しでも穏やかな時間が過ごせればって思う。

「病気」は、気が病むと書く。
「病は気から」、とも言う。
やっぱり、気持ちが大事だと思う。
治ろうという思い、自分で治す!という思い。
それが自己治癒力に繋がると思う。

彼女にこれからも強い気持ちを持って欲しい。
そしてその手助けを私が出来る範囲でしたいと思う。
そして、秋田で出会った人達のように元気になって欲しいと願う。

秋田で、私は「治す」強い気持ちを見た。教えてもらった。
自分でもそのつもりでいて、秋田に行ったわけだけど、
全然甘えて逃げてる自分だった。

人って、強い、と思った。
そして、弱い自分を乗り越えて、強くなる人は、他人に優しい。
病気が必要だとはやっぱり思えないけれど、
学ぶ事はとても多い。

それをギフトだと思えたら、そこからたくさんの事を学んだら、病気は治るのかな。
そう思える瞬間が数多くあった私だけど、いまだに治っていない。
まだまだ、なんでしょうか。
もうすぐな気もするんだけど。
必要なのは、「治る」という強い気持ち。
これが、まだまだまだまだ足りない私